発熱の話


「昨日診察してもらって風邪だって言われたんですが、そのあと熱が出ちゃって、夜中に39℃になって、病院の救急に行ったんです……」

こういう話は多いもの。こどもの熱が高い、というと、たいていの人はあわてます。夜になって熱が出たとか、昼間より高くなった、とすぐさま救急外来にかけこむ人も、珍しくありません。でも、実際に診察してみると、すぐに処置が必要な重い病気であることは、ほとんどありません。

裏返してみると、子どもでは、軽い病気で高い熱が出たり、急に熱が上がったりすることは、まったく珍しくない、ということです。小児科の外来では、高熱のある子どもはたくさんいますが、その全員が重い病気だなんていうことは、ちょっと考えればありえないことがわかりますよね。

そうは言っても、いざわが子の熱が39℃、40℃となると、冷静ではいられない。熱は、体温計の数値でその程度や上がり下がりの変化がよくわかるだけに、心配のタネにもなりやすいのでしょう。しかし、熱があるのは、身体の中で何かの炎症が起きているということ(熱中症みたいに外から加熱されてという場合は別です)ではありますが、熱が高いから病気が重いのだ、ということにはなりません。ほとんどの赤ちゃんがかかる突発性発疹など、高い熱が3日前後も続くことが普通ですが、合併症もまれな軽い病気であることは、皆さんもご存知だと思います。

以前は、「高熱が続くと脳に影響するのでは」という心配をする人が時々いました(今でもたまにいます)。しかし、「熱が続いた」だけで脳に悪影響がある、後遺症が残る、ということは、実際にはありません。脳に影響があるのは「髄膜炎」や「脳炎」などの場合で、これは炎症が起きている場所が脳だから、脳に影響が出るのです。確かにこういう病気の時は高熱が続くことがほとんどですが、脳に影響するのは熱そのものではなく、脳の炎症なのです。

熱が上がっても、他の症状に大きな変化がなければ、あわてて受診する必要はありません。 ふつうのかぜでも熱が2〜3日出ることはありますから、元気があり咳や下痢などの症状が悪化していなければ、処方された薬で様子を見ていて大文夫です。症状が激しくなったり、ぐったりして水分もとれなかったりするときはまた診察を。4〜5日以上続く熱は、心配ないものも多いとはいえ、やはりもう一度診祭は受けた方がよいでしょう。

 市販の風邪薬には解熱剤の成分が含まれているものがあります。処方する薬の中にあらかじめ解熱剤を入れる医師もいます。しかし、感染の初期に体温が上がるこは、免疫のはたらきに有利なのだとも言われており、熱を低く抑えておくことにはあまり意味はないと考えられます。解熱剤は、熱が上がりきったときに十分な量使うのが最も効果的で、使いすぎにもなりにくく、「頓服」(熱が高いときだけ使う)として処方するのが原則です。もちろん、熱が高くても、いつもと様子が変わらずけろっとしているなら、 何が何でも薬で熱を下げるという必要はありません。

熱はなくても、ひどい喘息の発作など、早く診察を受けて処置したほうがよい状態もあります。要は、体温計の数字にふりまわされないことだと思います。
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