マイコプラズマの話


「周囲でマイコプラズマが流行っている、と聞きましたが、マイコプラズマって、そもそも何なのですか?」

ちょっと変わった細菌、と言えばいいでしょうか。子どもの病気でおなじみの細菌には、のどの炎症を起こす溶連菌や、とびひなどを起こすブドウ球菌などがありますが、こうした一般的な細菌は、身体の一番外側に、「細胞壁」という殻を持っています。マイコプラズマには、この「細胞壁」がありません。普通の細菌に使われる主な抗生物質は、この「細胞壁」を壊して細菌を殺すのですが、細胞壁のないマイコプラズマには効果がありません。

といっても、まったく薬が効かないということではなく、効果のある抗生物質はあります。一般の細菌によく使われるペニシリン系やセフェム系の抗生物質は無効ですが、マクロライド系やテトラサイクリン系と呼ばれる抗生物質が有効です。

マイコプラズマは、ふだん元気な、比較的大きい子どもや成人の気管支炎や肺炎の原因として、わりと多く見られるものです。気管支炎や肺炎ですから、高い熱と激しい咳が典型的な症状です。咳がひどいわりには聴診しても胸の音がきれいなことが多く、またレントゲンではっきり影があっても、呼吸困難など全身に影響する激しい症状になることが珍しい、というのも特徴です。

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ぜんそくの話


「ゆうべ咳き込みがひどく、眠れないほどだったので、夜間診療を受診したら、『喘息ではないか』と言われ、吸入をして、飲み薬をもらいました。吸入の後は眠れましたし、今朝はかなり具合はいいようです」

確かに喘息は、夜中から明け方にかけて症状がひどくなることの多い病気です。吸入したのは、気管支を拡げる薬でしょう。喘息では、気管支が狭くなって空気の通り道が細くなってしまうため、息苦しく、また痰がからんで咳が激しくなります。このような時は、まず、気管支を拡げる自律神経に働く薬を使います。吸入の薬は気管支に直接入るので、即効性があります。

いきなり喘息と言われてびっくりした、というお話もよく聞きます。実際、ある種の気管支炎で、喘息のようにゼイゼイすることはありますから、一度だけで喘息と言い切るのは難しいです。ただ、熱がないことや、吸入がかなりよく効いたように見えることは、喘息を思わせる特徴ではあります。ちょっとしたきっかけで同じようなことがおきるようなら、喘息の可能性が高いでしょう。


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熱中症の話


「暑くなってきました。毎年このころになると熱中症が話題になりますね。」

この時期、屋外での作業やスポーツ時はもちろんですが、小さい子どもやお年寄りは、とくに熱中症になりやすいので、室内でも注意が必要です。

もともと、私たち人間の身体の中では、常に熱が作られています。また、運動することによっても熱はつくられます。一方で、身体の表面の血管から皮膚を介して熱を発散し、汗が蒸発することで熱を奪って(気化熱)、体温が上がりすぎないようにバランスを保っています。暑い時や運動した時には、①汗を多く出してより多くの熱を奪うことと、②身体の表面にある血管が広がってより多くの熱を発散する、というふたつのはたらきによって、体温が上がらないように調節しています。

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食中毒の話


「昨日から熱が出て、何度か吐きました。今朝から下痢が始まっています。食中毒でしょうか?」

この症状は胃腸炎ですが、胃腸炎の原因になったウイルスや細菌が、食べ物から入ったものであった場合に、「食中毒」と呼ばれます。食中毒は、同じものを食べた人が集団で発症することが多いので、問題になります。家庭内で出ることもありますし、学校や園の給食や行事、会社の宴会や、飲食店で同じ料理を食べたお客さんなど、いろいろな場合があります。焼肉店のユッケで起きた集団食中毒が社会的な問題になったこともありますよね。

正確には、「食中毒」という言葉そのものは、このような、ウイルスや細菌による感染症だけでなく、食べ物によって身体に有害なことが起きる、ということのすべてを含んでいます。ですから、キノコの毒による中毒も食中毒ですし、水俣病のような、食べものが汚染されていたために起きた公害病も一種の食中毒です。症状も、嘔吐や下痢のような胃腸の症状とは限らず、しびれや幻覚など神経系の症状が出る食中毒もあります。

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ひきつけ・けいれんの話


「昨夜子どもが急に熱を出してひきつけました。あわてて救急車を呼んでしまいましたが、救急車が来た時には止まっていました。病院では熱性けいれんでしょうと言われました。」

熱が出た時にひきつけを起こす、熱性けいれんは、意外に多いものです。救急車が来たときには止まっていたとか、救急車の中で止まった、というのもよくある話です。

典型的な熱性けいれんには、以下のような特徴があります。

①6ヶ月から6才くらいまでの、それまで発達の遅れや神経症状のない子どもで
②38℃以上の発熱があってから24時間以内に起きることが多い
③左右対称の、全身のけいれん(身体を硬直させ、白目になり、全身がガクンガクンとなる)
④15分以内に自然に止まる
⑤けいれんが止まった後、30分~1時間くらい眠りがちになることはあるが、目覚めた後は普段と変わりなく、手足の麻痺やその他の神経症状もない
⑥24時間以内に繰り返し起きることはない

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湿疹の話


「最近湿疹が急にひどくなって、かゆがります。アトピーではないかと心配です」

子どもの湿疹で「アトピー」を心配する方は多いです。しかし、子どもの顔や身体、手足にできるぶつぶつやガサガサは、アトピー性皮膚炎以外にもたくさんあります。最近になって急に出てきた湿疹であれば、あせもや虫さされをかきむしって一時的に湿疹がひどくなった、という可能性もあります。

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎の診断基準では、「かゆみが強い」「特徴的な湿疹が左右対称に分布する」「よくなったり悪くなったりしながら慢性的に続く(乳児でニカ月以上、幼児以上では六カ月以上)」ものとされています。「アトピーかな?」と思っていても、これにあてはまらない湿疹がかなりあることがわかると思います。

この中ではまた、アトピー性皮膚炎とまぎらわしいものとして、接触性皮膚炎(触れたものによるかぶれ)やあせも、とびひ、などが挙げられています。どれも小さい子どもに多いものです。

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「かぜ」の話


「入園して1ヶ月、もう3回も熱を出してお休みしました。毎回『かぜでしょう』と言われるのですが。」

保育園や幼稚園といった、おおぜいの子どものいる集団に初めて入った時には、 とてもよく聞く話ですね。 短期間に何度も繰り返すと、心配になってくるものですが、 ほとんどは、 何かひとつの病気が治っていないということではなく、たてつづけにちがうかぜをもらってきているだけです。 特別身体の弱い子でなくても、こういうことは起きます。毎回ひどくなって入院騒ぎになる、というようなことでなければ、心配はいりません。夏を過ぎるころには、そんなに頻繁に熱を出すことはなくなるでしょう。


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下痢のはなし


「朝からおなかを痛がって、水みたいなウンチを何度もするんです」

下痢は、発熱やせき・はなみずと同様、こどもではよくある症状のひとつです。このように腹痛がある場合もありますし、あまり痛みを訴えないこともあります。高熱を伴うこともありますが、まったく熱がないこともしばしばです。吐き気が強かったり、実際に何度も吐いたりすることもあります。

こういう急性の下痢の原因のほとんどは、ウイルス性の胃腸炎です。腸の粘膜に炎症が起きるために、栄養素や電解質(ナトリウムやカリウムなど)、水分を吸収しにくくなり、水っぽい便がたくさん出るのですね。

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発熱の話


「昨日診察してもらって風邪だって言われたんですが、そのあと熱が出ちゃって、夜中に39℃になって、病院の救急に行ったんです……」

こういう話は多いもの。こどもの熱が高い、というと、たいていの人はあわてます。夜になって熱が出たとか、昼間より高くなった、とすぐさま救急外来にかけこむ人も、珍しくありません。でも、実際に診察してみると、すぐに処置が必要な重い病気であることは、ほとんどありません。

裏返してみると、子どもでは、軽い病気で高い熱が出たり、急に熱が上がったりすることは、まったく珍しくない、ということです。小児科の外来では、高熱のある子どもはたくさんいますが、その全員が重い病気だなんていうことは、ちょっと考えればありえないことがわかりますよね。

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